「ねぇ、なーちゃん」
パパが布団でゴロゴロしながらぼくに話しかける。
なぁに、パパ。
「暇だねぇ」
まぁ、そうだね。
ぼくは壁を使ってストレッチをしながら答える。
パパはお休みで、いつものお休みだってとくに何もしないのに
今日は暇だ暇だと朝からうるさい。
でも、暇だ、と言っている以外は
別にいつもと同じことをしているように見える。
「だってママちゃんは旅に出てて、オレとなーちゃんは
お留守番だなんて」
パパは口を尖らせた。
だってそれは、パパがママのお休みと合わせないからでしょ?
「だってお休みはオレが決めるんじゃないんだよ」
パパはプイと横を向く。
でも職場の人とゴルフに行くときは
休みを合わせてるでしょ。
「だってそれは合わせやすいから」
パパはタオルケットを被り、ごにょごにょと答える。
ふーん。
ママはパパに合わせてお店の定休日を変更してきたのにね。
だから旅に出ちゃったんだよ。
パパはタオルケットの隙間からぼくを盗み見る。
「あれ?なーちゃん、壁歩いてるみたい」
ん?
なにそれ。
パパは何かのコンセントを引っこ抜いて
また布団に横になってぼくを見る。
「ほら、こうでしょ?
これをこうして」
「くっるっと回すと」
「壁を歩いてるみたい!」
きゃー♪
ママちゃんに送ってあげよう~♪
パパは送信ボタンを押した。
・・・。
ほんと、ぼくとパパではしょうもない。