あぁ。朝日が気持ちいい。
ぼくが朝日を浴びながら、ウトウトする日がくるなんて。
これまでパパのお仕事は、お客さんの夜ご飯を作ることが多くて
だから朝は遅くまで寝てて
だからカーテンが締まっていて
ぼくが昇ってきたばかりの太陽を見ることなんてなかったんだ。
「その座布団、いいでしょ。
作っておいて良かったな」
ママが洗濯物を干し終えて、ぼくの隣の席にすわる。
ぼくの席に置かれた座布団は
パッチワークでできていて
ママはそんなの作ったこともなかったんだけど
ばぁちゃんが死んだときに
ママのお店のお客さんが、材料一式持ってきて
とにかく、これでもやりなさい、って置いていった。
当時のママはまだ少しぼんやりしていたんだけど
お客さんに言われるがまま
布に線を引き、切って、アイロンをあてて
糸でつなぎ合わせ、座布団カバーになった。
「ばぁちゃんが死んで、もう2年も過ぎちゃったのか。
早いもんだね」
ママはくるりとぼくの椅子を回した。
あんた、それ、良く似合ってる
って言うと、ママは
ばぁちゃんと同じ笑顔でゆっくり目を閉じた。