ぼくがぼくであるために

「へぇ。
 珍しいね。
 なーちゃんがお外の子に憧れないなんて」

「そうなのよ。
 いつもなら
 ぼくもしとしと雨に濡れてみたい、とか
 ぼくはそんなことも知らないで
 まったく何をやっているんだ、とか
 ぶつぶつ始まるのに」

パパとママが珍しく二人でテーブルについて
話をしている。

それも、ぼくのことで。

「あれかな。
 年取ったから?
 あんまり関心が無くなったのかな」

「でもそんな、言うほどおじいちゃんでもないでしょ?
 確かにジャックは若いと思うけど
 ミミちゃんだって若いし」

うーん、とママは首をかしげている。

ぼくも、うーん、って思っているんだ。
興味がないとも違うんだよね。
別に、いいな、って思わなくなったというか。

ぼくとお外の子たちでは
生き方が違う、って理解したというか。

彼らには彼らで
楽しいことも辛いこともある。
ぼくにだって楽しいことも辛いこともある。

それだけの事、って思ったというか。

「大人になったって事だよ。
 充分大人だし、おじいちゃんなくらい」

「そりゃそうだけど。
 猫年齢は早いし。
 あたしたちより年上になってるだろうし。
 経験年数も上がったよね。
 案外色々経験したもの。
 色んな猫にも会ったし。
 あたしたちが実感するのが遅かったのかもね。
 なーちゃんをいつまでも子供扱いしちゃ、ダメか」

ママは、はぁ、と息を漏らす。

「いいんじゃない?
 なーちゃんがいくつになろうと
 オレたちの子だよ」

パパとママは顔を見合わせ
柔らかくほほ笑んだ。

ぼくは、キャットタワーの小箱で
ほら、ぼくにしかわからない幸せってあるんだよね、って思った。


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