今日はママのお休み。
でも相変わらず朝早くから起きてお掃除をしている。
「がっつりお掃除できるの水曜だけだから。
あんたのおしっこ探しが大変なんですよ」
ママはじろりとぼくを睨む。
えへへ。
ジャックも朝ごはんを食べてどこかに出かけ
三度目の洗濯が終わったころだった。
窓の横で、ひゅー、ひゅー、と音がする。
その音はゆっくりと庭へと近づいてきた。
トラちゃん!
トラちゃんは台風を乗り越えていた。
ママが急いでご飯を用意する。
剥げていた耳も鼻も、すっかり毛がはえている。
でも。
トラちゃんが息を吸うたび、音がする。
ひゅー、ひゅー、と音がする。
ぼくはママと顔を見合わせた。
「トラちゃん、鼻が詰まっているの?」
ママは風邪ひいた?とトラちゃんに尋ねる。
ご飯を食べ終えたトラちゃんは、ウッドデッキで丸くなった。
ゼイゼイ、とは違う。
普通に息を吸うだけで、ひゅー、と音がする。
呼吸をしている間、ずっと鳴っている。
息を吸うたび、左の首が攣れている。
「肺が、おかしいんだ。
母の時と似ている。
こんなに音がしちゃ、どこの家からだって
シッシッ、ってされちゃうし
きっとゆっくり眠る場所なんてなかったんじゃないかな」
ママは眉間に皺を寄せた。
トラちゃんは、ここは追い出されない、と安心したのか
ごろりと顔を上に向ける。
それでも、ひゅー、ひゅー、と音がした。