パパの就職活動は、あまり上手く行っていない、らしい。
でも、ゆっくりでいいよ、とママは言う。
地震があって、求人は減っている、らしい。
さらに夏が来て、夏休みがあるから、面接にはならない、らしい。
「正直、今家に居てもらえると助かる。
やっと失業保険が下りたので、ぼちぼちやればいいよ。
つらい3ヶ月は乗り切ったんだし」
これで家賃はなんとかなる
あと国保の支払いが苦しいが
ママがなんとかしてやるぜ
と言うと、えいえいおー、とこぶしを空に挙げた。
ママが仕事に行っている間、パパはばぁちゃんとお昼ご飯を食べて
テレビ見て、昼寝して、
ママが帰ってくる頃に夕飯を作り出す。
ぼくはもちろん、パパとばぁちゃんと一緒に過ごす。
パパはママがいない間にキッチンで
こっそり手品の練習をして
ばぁちゃんとぼくに披露した。
それは、ばぁちゃんが引いたカードを
パパが触らないで沢山のカードの中から
飛び出させたり
ぼくもばぁちゃんも
わぁ、と目を丸くするものばかりだった。
ばぁちゃんは
あの子には内緒よ
と言ってママに内緒でタバコ代をパパに握らせたり
なんだか二人はとても仲良くなって行った。
ママが帰ってきて、みんなでご飯を食べているとき
昼間見ていた甲子園の話題になって
パパもばぁちゃんもぼくも
あそこでホームランなんて奇跡だ
甲子園ってドラマがあるよね
なんて盛り上がっていると
わーん
あたしもお店行かないで甲子園観る~
おうちに居る~
とママが天井を向いて叫んだ。
ママ。
ぼくは、ママを応援しているよ。