ちーん
とママは鐘を叩いた。
「まったくもう。
写真ばっかり増えちゃって」
口をへの字に曲げる。
パパとママの間に挟まれた、ちーちゃんの写真は
ほほ笑むばぁちゃんの写真の隣に飾られていた。
ぼくは背伸びをして、写真を見る。
知っている二人。
話したり、匂いを嗅いだりしたこともある。
でも、もう話もできないし、匂いもない。
これが、死んじゃうって事なんだね。
ばぁちゃんは、寿命だから、と笑っていた。
ちーちゃんは、自分の目でぼくたちを見ることもなく逝ってしまった。
胸の中に、冷たい風が吹く。
「まぁ、寂しいけど、悲しくはないのよね、あたしは。
一緒に居れる時間は充分楽しく過ごせたと思ってる。
一緒に死ぬことはできないし、それを望まれてもいないし」
なーちゃんとパパもいるから、ね。
とママはぼくを抱き上げた。
ぼくもいつか、ここに飾られるのかな。
ママはまた、目を開けたまま、涙を落とすのかな。
ぼくはママの顔を舐める。
ねぇ、ママ。
ぼくの時も、ばぁちゃんの隣に写真置いてね
って言うと、
ママは目を三角にして
お断りだ!
隣はあたしだ!
と叫んだ。