早いものだな、と思う。
あれから丸9年経つのか。
命日でも
パパとママはお墓参りには行かない。
「手を合わせることはどこでもできるからね」
と言って。
ママは形だけやる、というのを嫌うからなぁ。
でもきっと今日の夕飯は、ばぁちゃんが好きだったものだ。
ぼくが死んだらチュールが毎年お皿にあがるのかな。
生きてるときに出して欲しいよ。
死んだら食べられないじゃないか。
と、思って、
あぁ、そうか、と思った。
だからママは、ばぁちゃんが生きてるうちに
出来る限りの事をしたんだ。
ばあちゃんはよく、
「死んでから来たって遅いのよ」
って笑ってた。
今日もまた、あの日と同じ、真っ赤な夕日かな。
あの日、婆ちゃんが寝ていた布団をオレンジの光が包んだ。
綺麗だったんだよね。
死ぬって、悪くないな、って思うくらい。
今日もそんな日だといいな。