ききー
ぶるるん。
どたどた
ばたばた
パパちん、大きいタッパ、大きいタッパ
でもこれ、カリカリとか入れてあるよ
いいから、早く
どたどた
ばたばた
ん?
パパの車が停まる音がして、ママの声がする。
2人で一緒に帰ってきたのかな?
ママ、自転車どうしたんだろう。
どたどた
ばたばた
ペットポトルにお湯入れてきて
ばたばた
おかしいな。
いつもなら、2人は
なーちゃーん、ただいま~って
言うのに。
ぼくは布団から抜け出して階段を下りた。
パパ、ママ、お帰り~
と言う言葉が喉の奥で詰まる。
なんだろう。
知らない、匂い。
ミルクのような、そして懐かしい。
「あ。なーちゃん、ただいま。
えーと、これには、訳がありまして」
ママがギョッとしてマゴマゴ答える。
その匂いはコタツのかかったソファから漂ってくる。
ぼくは急いでコタツテーブルに飛び乗った。
え?
ええ??
え?
ぼくは思わず二度見した。
なに、それ。