「ついに出来たぜ」
と言ってママはまたぼくに写真を見せる。
それはママが待ち望んだロゴ入りエプロンだった。
プリントじゃなくて刺繍だ。
よくみどりアップが許可したね。
刺繍って高いんでしょ?
「みどりアップの予算内で
引き受けてくれたところがあったの。
1年くらい熱意を伝えた甲斐がありました」
たしかに。
ここにたどり着く前に
ママは2枚エプロンを買ってる。
色違いや形違いも取り寄せてもらって
他のメンバーに試着してもらったりしてた。
「やっぱりネイビーに落ち着いたけど
ピックは黒で
ハンギングスタンドは白になっちゃった。
それも統一したかったんだけどなぁ」
ママはスマホをクルクルと操作し、
これまでの流れを見ている。
あ。会計の野田さん。
似合ってる。
エプロンはエプロンで統一できて、よかったんじゃない?
ぼくは充分だと思うけど。
ママは、うん、と頷く。
上出来だ、と笑ってる。