えぇ?なんか動いた?
なーちゃん、居る?
ママが息をひそめた声でぼくを呼んでいる。
なに?ママ
ぼくはテーブルの下から顔を出す。
だよね、だよね
と言いながら顔を窓とテーブルと行ったり来たり
させている。
どうしたの?
ぼくも窓の外を見た。
え?
え?
ハクビシン?
とママがぼくに聞いてくる。
わ、わかんない。
ママは思い切ってレースのカーテンをめくった。
え?
だれ?
「にゃんこみたい。
あれかな、パパのクーラーボックス。
ちゃんと洗わないから、魚の匂いがするんだ」
うーん、パパちんらしい。
と、ママは感心している。
いやいや、匂いで来たならご飯を食べたいはずだ
と言って、ぼくのご飯を小さなお皿に盛っている。
そっと網戸を開け
そっとウッドデッキに置く。
ひどくクーラーボックスに懐いている。
「うぅぅ
あのクーラボックス、しばらく片せないぞ」
ママは眉をしかめてつぶやいた。
ぼくは、シマさん以外の猫に会うのが久しぶりで
かなり動揺している。
おんな、の子?