ねぇ、なーちゃん、ちょっとちょっと
ママが小声でぼくを呼ぶ。
なに?
どうしたの?
ぼくとママ以外居ないのに
ママは何かに悟られないようにゆっくりと動いて
ぼくのそばに来た。
「ねぇ、あれ、なんだろう」
レースのカーテンを開けずに窓の外を指さす。
床に居るぼくは良く見えなくて
テーブルに飛び乗った。
ん?
お隣のお家の物置の、上?
カラスとは違う、丸みを帯びた身体。
でかい、ような、気がする。
彼はぼくたちに気が付いたんだろうか。
じっ、っとこちらを見ている。
あ、あらいぐま?
ってママは目を点にした。