「なーちゃん、そのコタツカバー好きよね~」
ママがひょいとキッチンから顔を出す。
「抱きしめちゃって」
ニヤニヤしながら、うんうん、買ってよかった、とうなずいている。
うん。
これ、気持ちがいいの。
どれどれ、とママはコタツにもぐりこんでくる。
ちょっと、頭見せなさいよ、と
コタツカバーにおでこを付けているぼくを引きはがす。
「お。この角度だともう何事もなかったかのように見える」
え?ほんと?
剥げてない?
「そうね。産毛だけど、シマシマしてる。
どうなってんのよ、このシマシマ」
ママはちょんちょん、と産毛を突っついた。
ふむふむ。もう触られても、冷たくない。
ちょっと残念なような。
でも、まぁ、いいか。
このコタツカバーがあれば、ぼくけっこう幸せ。