しらまゆ

「なーちゃんは今年も元気に年を越して
 えらいえらい」

ママがぼくの背中をさする。

パパの職場では樽のお酒がお客さんに振舞われ
残った分を社員で分けて
パパは飲まないのにママのために、ともらって帰ってきた。
それをママはご機嫌で飲みながら
ご機嫌でぼくの背中をさすっている。

まぁ、ご機嫌なのは良い事だからね。
ぼくは大人しく背中をさすられる。

「いやぁ、平和っていいね。
 次の元号は平和で決まりだな。
 平和元年、うん、いいじゃない」

ぼくは目を細める。
その時代もいつか終わりが来るんだから
終わりが来た時に平和も終わっちゃう気がして
あんまり良くないよ、とぼくは意見を言う。

「終わりを考えながら決めなきゃいけないのか。
 なーちゃん、賢い!」

きゃっきゃっ、さすがあたしの息子!とご機嫌だ。
あ!
とママは手を止めた。

「あんた!その眉毛!」

ん?なに?

ぼくは耳を立てる。

「白髪じゃない!
 あんた、元号が変わる前に死んだら許さないわよ!」

息子が先に死ぬなんて、だめ!
とママはぼくに覆いかぶさる。

まったくもう。
あたしより先に死になさい、とか
先に死んだらだめ、とかコロコロ言う事が変わる。

でも、それは愛情表現なんでしょ?

ありがとう、って言ってぼくは目を閉じた。


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