この子は、さくらちゃん。
ママがよく行く出張先で暮らしている子。
ここの家にママは
週2~3回、出張に呼ばれる。
90歳近いおばぁちゃんは
腰が痛いんだって。
「もう、さくらちゃんが邪魔して
お尻がほぐせない」
とママは笑って、その時の写真を
ぼくとばぁちゃんに見せた。
「安心なのよ。さくらちゃんが傍にいると。
このおばぁちゃんも」
ばぁちゃんはぼくを見てほほ笑んだ。
ばぁちゃんも、ぼくが傍にいると安心?
って聞いてみる。
「そりゃそうよ。安心してゆっくり眠れる。
ありがたいなぁ、って思っているの。
おかげでいっぱい夢見れちゃって」
ばぁちゃんはぼくの頭を撫でた。
でもさー
あたしは仕事ができないのよ!
とママは口を尖らせる。
「それはあんたのやり方次第。
さくらちゃんに試練を与えてもらってると思って
頑張りなさい」
ってばぁちゃんはママにもほほ笑む。
まったく
あっちもこっちも
スパルタで
とママは両手を上に挙げた。