ジャックが最近、ぐいぐい来ている。
ぼくの家の周りを動かない。
決して愛想が良いわけではないんだけど
常に見かける。
「まいったね。
白黒はなかなか喧嘩っ早いから
ミミちゃんもシタちゃんも近づけなくなるぞ。
かといって、ジャックも生きてるし
どこかでご飯を食べないと死んじゃうし。
もう少し友好的なら良いんだけどな」
と、ママはやや降参気味に階段の窓のほうへ
誘導する。
ジャックー、と呼びかけるとひょっこり顔を出した。
おや、ママさん。こちらにも窓があったんですか。
へぇ。
さすがに噂のお宅だ。
ジャックはニヤリとする。
「あんた、ウッドデッキ占領しないでよ。
ミミちゃんもシタちゃんも来るんだから。
他の子がいるときはこっちで食べてて」
ママは階段なんだよ、と知らせるために
段の上にお皿を置く。
まぁ、オレだってお腹いっぱいなら
誰が居たって文句は言わないよ。
ママさん、その代わりちゃんと食わせてくれよな。
ジャックはキリっとした顔をママに向けた。
「いやいや、それはパパちんに言ってくれよ」
あんた若いからすごい食べるじゃない、とママは
への字に口を曲げた。