いぇい いぇーい
と言いながらママが帰ってきた。
いつもより早い時間だ。
上着や鞄ををポイポイっと椅子に投げて
急いでキッチンに向かっている。
ちょっと、ママ。
もうこの椅子には二日分の上着がかかっているよ。
ぼくはたしなめる。
今日投げ捨てられた上着は大柄のトレーナーだった。
「だって今日はハンバーグの日よ。
せっかくパパちんが夕飯食べないんだから。
こんな日は1年に1度しかない!」
パパが今日忘年会で珍しく帰りが遅い事は
ぼくだって知ってる。
そしてハンバーグが嫌いなパパの居ない日にしか
ママはハンバーグが食べれない。
とは言え。
ぼくは椅子に飛び乗った。
ねぇ。鞄が邪魔で座れないよ。
もう!
いつもそんなとこ座らないくせに!
ってママは叫んでいる。
早くハンバーグが焼きたいみたい。
邪魔してるんだもん。
ぼく、それ、食べないし。