「ずるいわよね、ほんと」
ママは頬をぷーっと膨らます。
ぼくは知らん顔をする。
「一緒に入ればいいじゃないのよ。
なんで独占したいのよ」
ママの文句は続いている。
それはぼくに言っているからだった。
だって、本能だよ。
「それにしてもやり方が汚い。
そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
ママは腰に手を当てる。
ママが何に文句を言っているかと言うと、
朝のお布団についてだった。
ぼくはママが早く布団から出るように
何回も起こす。
時にはタンスにおしっこをかけたり。
だって、ママが出た後が一番温かいんだもん。
「だったら一緒に入ればいいでしょ」
ママは譲らない。
1人で寝たいんだよ、なんて口が裂けても言えない。
でも今は二人でリビングにいる。
朝も早いのに。
ママはニヤリと笑う。
「お部屋を温かくすれば
なーちゃんは出てくる」
そうなんだけど。
ちぇっ。
お布団好きなのに。
部屋が温かければぼくだって布団からでる。
寒い中で温まったお布団に入るのがいいのにさー。
じゃ、一緒に寝てね、と指切りさせられた。