ばぁちゃんの息が止まった後、
ママは往診で来てくれてたお医者さんに電話して
そのお医者さんは休診日なのに直ぐにやってきて
すこし遅れて看護師さんもやってきて
「お疲れ様!
よくやった!
お母さんも!」
ってママはハグされた。
ママも泣きながら笑って
「いやー、すごかった。
ばぁちゃん、よくやったよ。
あたしもマネできるかな~」
って天井を仰いだ。
そしてちょっとお祭り騒ぎになった。
息をしていないばぁちゃんと
記念撮影になって、
すごいきれい
おなかに水も溜まってないし
注射の痕も
点滴の痕も
輸血の痕もない
よくがんばった
と、みんなでばぁちゃんを褒め称えた。
拍手喝采、ってこういう時にするんだね。
ばぁちゃんは少し得意げな顔に見える。
みんなで、
畳の上で、布団に横たわったままのばぁちゃんの
髪を洗い、ドライヤーでブロウして
体を拭き、下着を代えて、
爪を切って、鼻くそを取り、
着替えをして、お化粧もして。
ばぁちゃんはとても小ざっぱりしていた。
「きっと今頃、そこらへんに浮いてて
はー、やっと脱出できた
あんたたちも、お疲れ様、とか言ってるよ」
って部屋の上のほうを指さしながら
ママはぼくに教えてくれた。
知ってる。
だってそうだもん。
ばぁちゃんは、
ありがとう、楽しかった。
いつかまた、どこかで。
ってほほ笑みながら、消えていったよ。